働くもののいのちと健康を守る東北セミナーin宮城・松島ニュース No.3

働くもののいのちと健康を守る東北セミナーin宮城・松島ニュース No.3

東日本大震災と原発事故から5年半

いのちと健康のこれまでとこれからについて一緒に考えました

 今年の「働くもののいのちと健康を守る東北セミナー」は、2011年3月11日の「東日本大震災と福島第一原発事故」から5年目の企画として、被災3県の岩手県、宮城県、福島県の各分野からこの5年間の取り組みと今後の課題について報告を受けて、みんなで一緒に考えようとシンポジウムを企画しました。

 9月24日(土)、25日(日)、宮城県松島町のホテル花ごころの湯新富亭に、東北各県から122名が参加して開催され、一緒に考える機会となりました。

基調報告

 5年半前のあの時、何を思いましたか?忘れていませんか?

  寒い真っ暗な闇の中、お互いを案じ、助け合い、いのちの大切さを感じたあの頃、 「24時間年中無休」「大量生産・大量消費社会」に疑問を感じ、生活スタイルの見直しをした人も多かったのではないか 。喉元過ぎたら、いつの間にか逆戻りになっていませんか? 「絆」と言って助け合ったあの日々はどうなったのでしょう。過度の競争主義と自己責任主義が闊歩していませんか?

 今回の「東北セミナー」が、それらを見直す機会になればと思っています。

  人を置き去りにしているアベノミクス あの日から5年半、復興は道半ば!!

 

 仮設住宅で暮らす人、87,922人。災害公営住宅はやっと6割、全員が人間らしい生活に戻れるのは2年後になりそうです。福島県に至っては、その見通しさえ立たない状況です。自然災害は、天災ですが、その後の復興の遅れは、「人間復興」を置き去りにした「政治災害」とでも言えると思います。

 

 一億総活躍社会、「働き方改革」は、本当に人間らしい「働き方」は取り戻せるのか?

 

 アベノミクスが進めている労働の規制緩和の総括もなしに進められる「同一労働同一賃金」「長時間労働の慣行の是正」は、中身のない言葉遊びにならないように監視と提言が重要です。

シンポジウム

東日本大震災と原発事故から5年半

~いのちと健康の、これまでとこれからを考える~

シンポジスト 

宮城県から 井上博之さん(宮城県保険医協会)

岩手県から 新沼 優さん(自治労連大船渡市役所職員組合書記長)

福島県から 菅家 新さん(いわき市労働組合総連合事務局長)

 

被災者の医療の問題について・・・・井上さんから

 

 被災者の医療費免除は、国の財政的支援は1年で打ち切りとなる。2年目以降は、県政の姿勢が顕著に表れて、岩手県、福島県はその後も継続していますが、宮城県は、2年目から原則打ち切りとなりました。大きな県民運動で一部で窓口負担免除が継続されましたが、2013年から打ち切られ2014年から限定的に窓口負担免除になっている。医療費窓口負担は、被災者にとっては大きな負担になっていて、「受診抑制」が起きている。「負担免除」は被災者の「命綱」と報告されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自治体職員の「いのちと健康」を守ってこそ、「復興」の継続は可能・・・新沼さんから

 

 岩手県の自治体職員は、「家族の安否より震災業務」「誰かがやらねば」と文字通り「不眠不休」で住民のためにがんばってきました。しかし、地方行革による大幅な人員減らしの影響で、大きな災害に耐えられる体力はありませんでした。その中で自治体労働者の心身の疲労がピークに達しています。大船渡市役所では、労働組合と産業医・保健室の協力により、相談体制を充実させ早めに休養を取る体制を取っています。それでも、派遣職員の中でメンタルが悪化していると報告されました。大船渡市役所では、「民主的自治体労働者論」の立場を堅持して、復興は「最後の一人まで」がんばると報告されました。

 原発事故の収束・廃炉は、原発労働者の「いのちと健康」を守ってこそ!・・・・菅家さんから

 

 いわき労連の労働相談から見えてくる原発労働者の働かされ方が違法状態のオンパレード。多重下請け構造の中で「危険手当」のピンハネ、労働環境の劣悪さ、労災事故の多発などが起きている。労災の多くは、新規入職者が多くなって安全教育不足などによる初歩的な災害が増えている。また、被曝による労災認定も生まれている。白血病による認定が2人出てしまった。

 福島の復興は、原発事故の収束なくしてはあり得ない。その原発事故の収束工事の担い手である労働者の労働条件や労働環境の改善なくしては、福島の復興はあり得ない。労働者の福島復興作業に従事する「誇り」や「責任感」を最大限厳守できる作業現場でなければならないと考えます。

⇒ 学習講座については、次号で報告します。

東北セミナーニュースNo.3.pdf
PDFファイル 780.9 KB